Wendlandia formosana Cowan

アカミズキ 分類 界 : 植物界 Plantae 階級なし : 被子植物 angiosperms 階級なし : 真正双子葉類 eudicots 目 : リンドウ目 Gentianales 科 : アカネ科 Rubiaceae 属 : アカミズキ属 Wendlandia 種 : アカミズキ W. formosana 学名 Wendlandia formosana Cowan

アカミズキ Wendlandia formosana は、アカネ科の樹木。アカミミズキとも。

特徴[編集]

高さ3mほどになる常緑の低木^[1]。若枝に伏した短毛があるが、それ以外は無毛。樹皮は薄く褐色になる^[2]。葉は対生する。葉身は長さ7-20cmで葉柄が1-2cm。葉身は長楕円形で先端も基部も尖り、縁は滑らか。側脈は5-8対で裏面に突き出し、細脈と網状脈も裏面ではっきり見える^[3]。

花は5-6月に咲く。茎の先端に出る円錐花序は10-20cmになり^[4]、多数の花をつける。花序のは短い伏せた毛が多い。苞は葉のように発達して長さ1-2cm、短い柄がある。個々の花には短い柄がある。萼は鐘形で長さ1.5mm、先端は5裂し、裂片は狭卵形で先端は鈍く尖り、縁には毛がある。花冠は白で円筒形の筒状部の先端が5裂して反り返り、筒部の長さ4.5mm、花の径は1mm。雄蘂と雌しべは筒状部から少しだけ突き出る。

室果は球形で径1.5-2mmで9-10月に熟する^[5]。

和名のこと[編集]

和名については牧野はアカミミズキを取っており、これを赤身水木であり、概形がミズキに似ているが、樹皮が褐色であることを言ったものか、としている^[6]。これに対して永益は本種にやや似た樹木であるシロミミズ Tricalysia dubia が奄美大島でシルミミズキとも呼ばれていることに触れ、それがアカミミズキとの対比であり、材の色に基づくとの判断を示している^[7]。

分布と生育環境[編集]

日本では奄美大島以南の琉球列島に知られる。国外では台湾にも分布する^[8]。

低地の常緑樹林に生える^[9]。山地の伐採跡、焼け跡、河岸沿いなどによく出現し、小さな集団を作ることもある。湿沃地の指標となる^[10]。

分類[編集]

アカミズキ属は東アジアの熱帯から亜熱帯にかけて約70種が知られるが、日本には本種のみが分布する。

利用[編集]

材は淡黄褐色で、緻密で硬く耐久性がある。沖縄では棒材や杭材、挽物材などに利用される^[11]。

出典[編集]

1. ^ 以下、主として佐竹他(1989),p.191
2. ^ 初島(1975),p.576
3. ^ 初島(1975),p.576
4. ^ 以下、花序と花については初島(1975),p.576
5. ^ 天野(1982),p.179
6. ^ 牧野(1961),p.583
7. ^ 永益(1967),p.19
8. ^ 佐竹他(1989),p.191
9. ^ 佐竹他(1989),p.191
10. ^ 天野(1982),p.179
11. ^ 天野(1982),p.179

参考文献[編集]

• 佐竹義輔・他（編著） 『日本の野生植物 木本II』新装版、(1999)、平凡社
• 初島住彦『琉球植物誌』追加・訂正版、(1975)、 沖縄生物教育研究会
• 天野鉄夫『琉球列島有用樹木誌』、(1982)、琉球列島有湯樹木誌刊行会
• 牧野富太郎『牧野　新日本植物圖鑑』、(1961)、図鑑の北隆館
• 永益英敏「ミサオノキ」：『朝日百科 植物の世界 2』、(1997)、朝日新聞社：p.18-19

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