ミヤマイラクサ(深山刺草、学名:Laportea cuspidata )は、イラクサ科ムカゴイラクサ属の多年草[3][4][5]。
茎は緑色で、直立して、高さ80 - 110センチメートルになる。茎、葉、花序にも刺毛があり、触れると痛い。葉は互生し、長い葉柄があり、葉身は円形から広卵形で、長さ8 - 20センチメートル、幅5 - 15センチメートルになる。縁は粗大な鋭鋸歯になり、下部のものは小さく、上部のものは大きくなり、葉の先端はやや尾状に伸びる[3][4][5]。
花期は7 - 9月。雌雄同株。雄花序は、下方の葉腋から出て、多数分枝して長さ5 - 10センチメートルの円錐状になり、多数の雄花をつける。雄花は白色で小型、萼片が5個、雄蕊が5個ある。雌花序は、上方の葉腋から数本または多数立ち、分枝しないで長さ20 - 30センチメートルに伸びて穂状になり、多数の雌花をつける。雌花は緑色で小型、花弁状の萼片が4個、花柱が1個あり白い糸状の柱頭が伸びる。果実は、長さ約1.8ミリメートルのゆがんだ楕円形状の痩果になる[3][4][5]。
日本では、北海道南部、本州、九州の福岡県に分布し、山地、亜高山の沢沿いや湿った林内、岩礫地に生育する[3][4][5]。国外では、朝鮮半島、中国大陸に分布する[4][5]。
春の、葉が完全に展開する前の若い茎は、山菜として利用される。「イラ」、東北地方の秋田県などでは「アイコ」と呼ばれ、評価の高い山菜である。採取する場合、触れると痛い刺毛があるので、刺毛を通さない手袋やナイフ等を用意するとよい。若い茎を生のまま天ぷら、煮物に、塩をひとつまみ入れて熱湯でゆでてから、おひたし、辛子和えや白和えなどの和え物、汁の実などに利用する。葉はふつう捨てられるが、葉を細かく刻み、油で炒め、みりん、醤油などで味付けをして煎りつけて、佃煮にする[6]。
また、茎の繊維が強靭で、昔はこれを利用し布を織った[4][5]。