イラガ(刺蛾、Monema flavescens)はチョウ目イラガ科に属する昆虫及びその総称である。「蜂熊」「オキクサン」「シバムシ」「キントキ」「デンキムシ」「ヤツガシラ」「オコゼ」とも言い、そのほかに数十の地方名がある[1]。
幼虫に知らずに触れると激しい痛みに飛び上がる。地方名のひとつ「デンキムシ(電気虫)」の由来である。これは外敵を察知した幼虫が、全身の棘の先から毒液を一斉に分泌するためである。体を光にかざすと、すべての針の先から液体が分泌されていることがわかる。刺激はかなり強く、場合によっては皮膚に水疱状の炎症を生じ、鋭い痛みの症状は1時間程度、かゆみは1週間程度続くことがある。卵をつぶしたり触れたりしてもかぶれるので注意が必要。また、種類によっては繭に毒毛を付けている物がある。刺された場合は、すぐに流水で毒液と棘を洗い流すこと。棘が残っていれば粘着テープなどで棘を除去する(患者はかなりの痛みを感じているので配慮が必要)。その後、市販の虫刺されの治療薬を塗るとよい。症状が酷い場合や目に入った場合は医師の治療を受ける。正確な毒性分は解明されていないが、ヒスタミンやさまざまな酵素を成分とした非酸性の毒だとされている。中和目的にアンモニア水を塗っても効果は無く、抗ヒスタミン剤やアロエの葉の汁を塗布するのが有効であるとされる。ひどい場合は皮膚科等で処置をする必要がある。
駆除にはBT剤、ピレスロイド系物質含有の殺虫スプレー(蚊、ゴキブリ用など)が効果的である。
仲間として、ナシイラガ、アオイラガ、アカイラガ、ヒメクロイラガなどがある。
食樹の樹幹についている繭はヒロヘリアオイラガのものであることが多い。ちなみに、ヒロヘリアオイラガに限っては繭にも毒がある。