ツチハンミョウ(土斑猫)は、コウチュウ目(鞘翅目)・ツチハンミョウ科(Meloidae)に属する昆虫の総称である。有毒昆虫として、またハナバチ類の巣に寄生する特異な習性をもつ昆虫として知られている。
成虫の出現時期は種類にもよるが、春に山野に出現するマルクビツチハンミョウ Meloe corvinusなどが知られる。全身は紺色の金属光沢があり、腹部は大きくてやわらかく前翅からはみ出す。動きが鈍く、地面を歩き回る。
触ると死んだ振り(擬死)をして、この時に脚の関節から黄色い液体を分泌する。この体液には毒成分カンタリジンが含まれ、弱い皮膚につけば水膨れを生じる。昆虫体にもその成分が含まれる。同じ科のマメハンミョウもカンタリジンを持ち、その毒は忍者も利用した。中国では暗殺に用いられたともいわれる。一方で、微量を漢方薬としても用い、イボ取り・膿出しなどの外用薬や、利尿剤などの内服薬とされた。[1]
「ハンミョウ」と名がついているが、ハンミョウとは別の科(Family)に属する。しかし、ハンミョウの方が派手で目立つこと、名前が似ていることから、混同される場合がある。
マルクビツチハンミョウなどは、単独生活するハナバチ類の巣に寄生して成長する。
雌は地中に数千個の卵を産むが、これは昆虫にしては非常に多い産卵数である。孵化した一齢幼虫は細長い体によく発達した脚を持ち、草によじ登って花の中に潜り込む。花に何らかの昆虫が訪れるとその体に乗り移るが、それがハナバチの雌であれば、ハチが巣作りをし、蜜と花粉を集め、産卵する時に巣への侵入を果たすことができる。
また、花から乗り移った昆虫が雄のハナバチだった場合は雌と交尾するときに乗り移れるが、ハナバチに乗り移れなかったものやハナバチ以外の昆虫に乗り移ったものは死ぬしかない。成虫がたくさんの卵を産むのは、1齢幼虫が生き残れるかどうかがこのような運任せの生態に対応しているためだと考えられる。
ハナバチの巣に辿りついた1齢幼虫は、脱皮するとイモムシのような形態となる。ハナバチの卵や蜜、花粉を食べて成長するが、成長の途中で一時的に蛹のように変化し、動かない時期がある。この時期は擬蛹(ぎよう)と呼ばれる。擬蛹は一旦イモムシ型の幼虫に戻ったあと、本当に蛹になる。
甲虫類の幼虫は、多くは成長の過程で外見が大きく変わることはないが、ツチハンミョウでは同じ幼虫でも成長につれて外見が変化する。通常の完全変態よりも多くの段階を経るという意味で「過変態」と呼ばれる。このような特異な生活史はファーブルの「昆虫記」にも紹介されている。
ツチハンミョウ(土斑猫)は、コウチュウ目(鞘翅目)・ツチハンミョウ科(Meloidae)に属する昆虫の総称である。有毒昆虫として、またハナバチ類の巣に寄生する特異な習性をもつ昆虫として知られている。
Cysteodemus armatus成虫の出現時期は種類にもよるが、春に山野に出現するマルクビツチハンミョウ Meloe corvinusなどが知られる。全身は紺色の金属光沢があり、腹部は大きくてやわらかく前翅からはみ出す。動きが鈍く、地面を歩き回る。
触ると死んだ振り(擬死)をして、この時に脚の関節から黄色い液体を分泌する。この体液には毒成分カンタリジンが含まれ、弱い皮膚につけば水膨れを生じる。昆虫体にもその成分が含まれる。同じ科のマメハンミョウもカンタリジンを持ち、その毒は忍者も利用した。中国では暗殺に用いられたともいわれる。一方で、微量を漢方薬としても用い、イボ取り・膿出しなどの外用薬や、利尿剤などの内服薬とされた。
「ハンミョウ」と名がついているが、ハンミョウとは別の科(Family)に属する。しかし、ハンミョウの方が派手で目立つこと、名前が似ていることから、混同される場合がある。