Pandalus nipponensis is een garnalensoort uit de familie van de Pandalidae.[1] De wetenschappelijke naam van de soort is voor het eerst geldig gepubliceerd in 1933 door Yokoya.
Bronnen, noten en/of referentiesボタンエビ(標準和名)(牡丹海老、牡丹蝦、学名 Pandalus nipponensis Yokoya, 1933、英 Botan shrimp)は 軟甲綱十脚目タラバエビ科(鱈場海老科)に分類されるエビの一種である。
市場、回転寿司等ではこの近縁種の一部も「ボタンエビ」と呼ばれて流通している。本種はその中で特に「本牡丹海老」(ほんぼたんえび)、「本牡丹」と呼ばれている。
海洋生物学者であった東京帝国大学農学部の横屋 猷(よこや ゆう) 博士[1](1891 - 1969)は、1933年の農学部紀要[2]の中で日本周辺の大陸棚に生息している多数のエビやエビジャコを明らかにして命名した。本種 Pandalus nipponensis Yokoya, 1933[3] もそのひとつである。Pandalus はタラバエビ属を表し、nipponensis は「日本の」の意味である。
体長は13cmから20cmを超える大型のものもいる。体色は濃いオレンジ色である。鮮度が落ちると、次第に黄色っぽくなる。額角(がっかく)の中央部付近と背部の赤味が濃い。殻から内臓が透き通って見える[4]。
第1 - 5腹節の側面に各2個の赤い不定形の斑紋(はんもん)がある[5]。斑紋が牡丹の花びらを散らしたように見えることが名前の由来であるという説と、体色が全体に赤く牡丹色が連想されたことが由来であるという説が見られる。
額角は頭胸甲(とうきょうこう)の1-1.5倍と長い。頭胸甲の背面の隆起はトヤマエビなどと比べると低い。
日本特産種で日本海にはいなくて太平洋側の宮城県沖以南だけに分布する日本固有種で、大陸棚と深海の境の水深300-500mあたりに生息する。南に行くほど生息域は深い。
かつては福島県の小名浜沖、東京湾、三重県の尾鷲沖、高知県の土佐湾などでも獲れたが次第に枯渇し、千葉県の銚子沖と静岡県の駿河湾などで少し獲れるだけになってしまった。市場には「牡丹海老」の名で近縁種の赤いエビが出回っている。ぼうずコンニャクの市場魚介類図鑑サイトの記事[6]に、次のエピソードが書かれている。
面白いのはあまりお目にかかれないボタンエビが十数年ぶりにたくさん入荷したのが2003年。このとき多くの仲買が「これがボタンエビである」ということがわからなかったはずだ。知っているのはエビを専門に扱う店の店員のみ。「なんだか色合いの悪いエビだな」
値付けに苦しんでいる仲買を実際に見ている。
— ぼうずコンニャクのお魚三昧日記、甘エビ学 事始め02 ボタンエビ
10月から5月にかけて、底引き網漁で捕獲される。牡丹海老は傷みやすいので、生きたまま持ち帰るためには鮮度を保ついろいろな工夫が必要[7]。
卵は青緑色でプチプチして美味。その大きさは3.4 × 2.3mmでタラバエビ属では最大である[8]。卵が大型なので繁殖力が弱い。本種は、栄養豊富な浅い大陸棚と栄養の少ない深海の境界域に生息しているので、卵に多くの栄養を蓄えていると考えられる。一度に500-1200個程度を産卵し、メスが約1年に渡って抱卵する。
海草の茂みをベッドに成長する。幼生の成長は「卵黄依存型」で、研究環境で6段階が確認されていて[8]、幼生段階が1から4、後期幼生段階が5および6である。口の咀嚼突起が多数生え揃った段階2に、1cm以下の小型エビであるアルテミア (Artemia nauplii)を食べ始める。段階6まで脱皮する。
雌雄同体。雄性先熟、すなわち若い個体は繁殖期がやってきた時にまずオスとして繁殖に参加するが、成長するとメスに性転換する。このため、体長13cm前後を超える大型の個体はすべてメスとなる。
本牡丹は海老の中でも漁獲量が少なく、とても高価なので、料亭や高級寿司店以外であまり見かけられない[9]。刺身や寿司で食べられている[10]。
さらに、しゃぶしゃぶや味噌汁、塩焼き、天ぷらやフライにもなり、殻まで食されることがある。漁期と同じ秋から春が旬。
生の身は弾力があるがとろけるようで甘い。
味噌(海老味噌)はメスよりオスが多くもっている。好む人は頭をすすって食べたりする。味噌は実際には、肝臓や膵臓の機能をもつ中腸腺である。
子持ちボタンエビも販売されている。
調理例:牡丹海老の刺身の作り方[11]、梅肉添え[12]
本項の本牡丹、いわば狭義のボタンエビは、瑞々(みずみず)しさや弾力は申し分ない品種である。築地の卸売価格でキロ 最低4,000円から最高17,000円,平均で9,500円ぐらいしている[13]。
これに対して、近縁のエビでも、一般的な名称として内容を的確に示す場合は「ボタンエビ」と称すことが消費者庁によって許されている[14][15][16]。
標準和名がトヤマエビ (富山海老)(Pandalus hypsinotus Brandt, 1851)(英、Coonstripe Shrimp)という近縁のエビ[17]も牡丹海老として売られている。むしろ牡丹海老といえば富山海老のほうが圧倒的に多く流通している。
富山海老は富山湾、日本海、北海道、ロシアのオホーツク海などで漁獲される。多くの地方名がある(トヤマエビ#地方名)。北海道噴火湾での地方名が「ボタンエビ」である。韓国独島(ドクト)(日本呼称、竹島)での地方名「独島エビ」とは富山海老または他の2種の海老と言われている[18][19]。
富山海老は、尾や脚に褐色の縞模様があり、頭胸甲が本牡丹より大きく、はっきりした白い斑紋が散在しているのが目立つ。オレンジ色っぽい本牡丹に比べて富山海老は赤味が濃く、鮮度が落ちても本牡丹より赤味が残る。
富山海老はキロ 2,000円から5,000円(新鮮で大型な良い品は10,000円以上も)といったところで平均は本牡丹より安い(以下、相場の数字は2017年現在の代表的通販価格(税込)[20][21])。それでも20cm前後の体長が立派で身に弾力があり、本牡丹に似た美味しさで人気がある。
カナダやアラスカから冷凍ではいってくる輸入もののスポットエビ (Pandalus platyceros Brandt, 1851)(標準和名なし、英 Spot shrimp)も「牡丹海老」と称され、高級ネタとして回転寿司や通信販売で出回っている。カナダボタン、スポットプラウンともいう(※ スポット「ブ」ラウンではない。英 prawn は海老のこと。)[22]。
頭胸部に白い縦縞があって見分けやすい。第二および第五腹節に白いスポットがある[23]ことが名前の由来である。ほとんどが冷凍物ではあるが、最大25cmと身が大きく、太って立派なので高値で安定している。キロ 3,000円から9,000円など。
三陸、相模湾、琉球列島など太平洋岸に生息するテラオボタンエビ(寺尾牡丹海老、寺尾牡丹蝦)(Pandalus teraoi Kubo, 1937)(白牡丹;はくぼたん)も「牡丹海老」と称され、福島産が少量のみ流通している[24]。頭部に縦一列になって10本以上生えている白っぽい額角が特徴的である。
刺身、塩焼き、味噌汁で食され、弾力は超プリプリ、旨みは一級という[25]。キロ 8,000円から13,000円など。
以上のほかにも「牡丹海老」と呼ばれた、または現在も呼ばれることのある近縁種はいくつかあるという[26]。
比較対照のために、広義の牡丹海老以外の海老の代表的通販価格を、高いほうから示す。