ヌルデ(白膠木、学名: Rhus javanica または Rhus javanica var. chinensis)は、ウルシ科ヌルデ属の落葉高木。ウルシほどではないが、まれにかぶれる人もいる。別名フシノキ、カチノキ(カツノキ)。
ヌルデの名は、かつて幹を傷つけて白い汁を採り塗料として使ったことに由来するとされる。フシノキは、後述する生薬の付子がとれる木の意である。カチノキ(勝の木)は、聖徳太子が蘇我馬子と物部守屋の戦いに際し、ヌルデの木で仏像を作り、馬子の戦勝を祈願したとの伝承から。
雌雄異株。樹高は5-6mほどの小高木であるが、10m以上の大木になることもある。若い枝は紫褐色で、楕円の皮目ができる。年ごと樹皮に縦の割れ目が入り、やがて全体が灰白色になる。
葉は9-13枚の小葉からなる奇数羽状複葉で、葉軸には翼がある。小葉は5-12cmの長楕円形で、周囲は鋸状がある。小葉の裏面全体に毛が密生している。表には主葉脈上に毛がある。ヌルデの葉にはヌルデシロアブラムシ Schlechtendalia chinensis が寄生し、虫こぶ(虫癭)を作ることがある。葉は秋に紅葉し、野山を彩る。新芽も赤く染まる。
花は円錐花序で、7−8月に開花する。花は数mm程度で、5つの花弁がある。雌花には3つに枝分かれした雌しべがある。雄花には5本の雄しべがあり、花弁は反り返っている。花序は枝の先端から上に出るが、何となく垂れ下がることが多い。果実ができるとさらに垂れ下がる。
秋には直径5-8mmほどの扁平な球形をした果実をつける。果実の表面にあらわれる白い粉のようなものはリンゴ酸カルシウムの結晶であり、熟した果実を口に含むと塩味が感じられる。
東南アジアから東アジア各地に自生する。日本では北海道から琉球列島まで、ほぼ全域で見られる。
いわゆるパイオニア樹木の代表的なもので、日本南部ではクサギ、アカメガシワなどとともに、低木として道路脇の空き地などに真っ先に出現するものである。伐採など森林が攪乱を受けた場合にも出現する。種子は土中で長期間休眠することが知られている。伐採などにより自身の成育に適した環境になると芽を出すという適応であり、パイオニア植物にはよく見られる性質である。
葉にヌルデシロアブラムシが寄生すると、大きな虫癭(ちゅうえい)を作る。虫癭には黒紫色のアブラムシが多数詰まっている。この虫癭はタンニンが豊富に含まれており、皮なめしに用いられたり、黒色染料の原料になる。染め物では空五倍子色とよばれる伝統的な色をつくりだす。インキや白髪染の原料になるほか、かつては既婚女性、および18歳以上の未婚女性の習慣であったお歯黒にも用いられた。
また、生薬として五倍子(ごばいし)あるいは付子(ふし)と呼ばれ、腫れ物、歯痛などに用いられた。但し、猛毒のあるトリカブトの根も「付子」[3]であるので、混同しないよう注意を要する。
ヌルデの果実は塩麩子(えんぶし)といい、下痢や咳の薬として用いられた。この実はイカルなどの鳥が好んで食べる。
木材は色が白く材質が柔らかいことから、木彫の材料、木札、木箱などに利用される。
ヌルデ属(ヌルデぞく、学名: Rhus)は、ウルシ科の属の一つ。
ヌルデ(白膠木、学名: Rhus javanica または Rhus javanica var. chinensis)は、ウルシ科ヌルデ属の落葉高木。ウルシほどではないが、まれにかぶれる人もいる。別名フシノキ、カチノキ(カツノキ)。
ヌルデの名は、かつて幹を傷つけて白い汁を採り塗料として使ったことに由来するとされる。フシノキは、後述する生薬の付子がとれる木の意である。カチノキ(勝の木)は、聖徳太子が蘇我馬子と物部守屋の戦いに際し、ヌルデの木で仏像を作り、馬子の戦勝を祈願したとの伝承から。