Salamandra nebulosa
Temminck & Schlegel, 1838[2]
カスミサンショウウオ(Hynobius nebulosus)は、有尾目サンショウウオ科サンショウウオ属に分類される有尾類。
日本(岐阜県以西の本州、四国北東部、九州北西部)固有種[3]
全長9.4 - 12.7センチメートル[3]。体側面に入る皺(肋条)は左右に13本(まれに12本)ずつ[3]。背面の色彩は緑褐色や淡灰褐色・暗褐色で、褐色の斑点が入る個体が多い[3]。種小名nebulosusは「雲状の」の意で、英名(clouded=雲の)と同義。尾の背面外縁に黄色い筋模様が入る個体が多い[3]。
上顎中央部に並ぶ歯の列(鋤骨歯列)はアルファベットの深い「V」字状[3]。胴体に沿って前肢(および指)を後方へ後肢(および趾)を前方に伸ばしても0.5 - 2肋条ぶんの隙間がある[3]。後肢の趾は5本[3]。
卵嚢の表面には明瞭な筋が入らない[3]。
広域分布種だが形態・遺伝的な地域変異が大きく、複数の隠蔽種を含んでいると考えられている[3]。
主に低地から丘陵にある湧水や水田の周囲にある二次林や竹林・草原などに生息するが、中国山地の個体群は標高の高い自然林にも生息する[3]。本州では同所的に分布するヒダサンショウウオ・ブチサンショウウオH. naeviusと垂直分布(標高)ですみ分けを行っているが、中国山地では同じ環境に生息することもある[3]。
昆虫、クモ、ワラジムシ、ミミズなどを食べる[3]。幼生は水生昆虫、ミジンコ、イトミミズなどを食べ、共食いも行う[3]。
繁殖様式は卵生。12 - 翌5月に浅い池沼や水田の溝、湿原、流れの緩やかな沢などに50 - 179個の卵を産む[3]。卵は3 - 4月以降に孵化する[3]。幼生は6 - 7月に変態し幼体になる[3]。
土地開発による生息地の破壊、それに伴う土砂流出による水質汚濁、減反政策による乾田の増加による繁殖地の減少、人為的に移入されたアメリカザリガニ・魚類などによる捕食などにより生息数は減少している[3]。京都府・愛媛県・岐阜県・滋賀県・奈良県では条例により許可のない捕獲が禁止されている[3]。