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Neocaridina denticulata

ミナミヌマエビ ( Japanese )

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ミナミヌマエビ Minaminumaebi.jpg
赤褐色が強い個体
分類 : 動物Animalia : 節足動物Arthropoda 亜門 : 甲殻亜門 Crustacea : 軟甲綱(エビ綱) Malacostraca : 十脚目(エビ目) Decapoda 亜目 : 抱卵亜目(エビ亜目) Pleocyemata 下目 : コエビ下目 Caridea : ヌマエビ科 Atyidae 亜科 : ヒメヌマエビ亜科 Atyinae : カワリヌマエビ属 Neocaridina : N. denticulata 亜種 : ミナミヌマエビ N. d. denticulata 学名 Neocaridina denticulata denticulata
Kemp, 1918 和名 ミナミヌマエビ(南沼蝦) 英名 Freshwater shrimp
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産卵後、産んだ卵を腹脚内にかかえこんで抱卵中のメス。この状態で孵化まで世話をする。メスの腹から剥がれてしまった卵は孵化しない。

ミナミヌマエビ(南沼蝦、学名 Neocaridina denticulata )は、十脚目ヌマエビ科に分類されるエビの一種。産卵も淡水中で行い、一生を淡水域で過ごす陸封型のヌマエビである。Neocaridina denticulata という種レベルでは朝鮮半島台湾中国まで分布するが、狭義には日本固有亜種を指して「ミナミヌマエビ」と呼ぶ。

特徴[編集]

体長はオスは20mm、メスでも30mm未満で、ヤマトヌマエビよりもずっと小型である。額角は長く、鋸歯状の棘が上縁に8-20(通常13-15)個、下縁に0-9(通常3-6)個あるが、先端付近には棘がない[1][2]。5対の歩脚は短く、このうち前の2対は先端に小さながある。背中の真ん中には白っぽい太い線が尾まで走り、線をはさむように「ハ」の字型の縞模様が並ぶ。若い個体やオスは全身が半透明で他のエビと区別しにくいが、メスの成体の体色は変異が大きく、茶色や緑黒色の個体もいる。

西日本の静岡県沼津市周辺、および琵琶湖淀川水系から九州までに分布する日本の固有亜種だが、朝鮮半島、台湾、中国に多くの亜種が知られる。特に中国南部原産のシナヌマエビ Neocaridina denticulata sinensis (Kemp,1918) はミナミヌマエビとよく似ている。これらの近縁種が釣り餌として日本に輸入されて在来ミナミヌマエビと交雑し、遺伝子汚染を起こす可能性が指摘されている。兵庫県夢前川水系では中国固有のヒルミミズ Holtodrilus truncatus が付着したカワリヌマエビ属のエビが発見され、釣り餌用に中国から輸入された淡水エビが川に逃げ出したことが示唆された[3]。また在来のミナミヌマエビも釣り餌などの持ちこみで日本各地に分布を広げている[4][5]

生態[編集]

流れのゆるい川や池の、水草が多い所に生息する。ダムなどの建設はヤマトヌマエビなどの分布域を狭めるが、逆にミナミヌマエビにとっては生息に適した場所となる。

雑食性で、生物の死骸や藻類デトリタスなど何でも食べるが[2]、生きた小動物を襲うことはない。歩脚の鋏で餌を小さくちぎり、忙しく口に運ぶ動作を繰り返す。小さな塊状の餌は顎脚と歩脚で抱きこみ、大顎で齧って食べる。

繁殖期はからで、メスは冬の間に卵巣を肥大させ、背中側が深緑色に色づく。交尾を終えたメスは1mmほどの卵を38-130個ほど産卵するが、これはヤマトヌマエビなどと比べて大粒・少数である[1]。卵は孵化するまでメスが腹脚にかかえこんで保護する。卵は最初は深緑色をしているが、やがて褐色になり、幼生の姿が透けて見えるようになる。

ミナミヌマエビは卵の中で幼生期を過ごし、体長2mmほどの稚エビで孵化する。孵化直後の稚エビは尾扇が未発達で、体色は半透明の白色をしている。稚エビは海へ降りることなく淡水中で成長する(この点は海で成長して川に遡上する両側回遊型のヤマトヌマエビと異なる)。寿命は約1年で、メスは1回-数回の産卵をした後に死んでしまう[2]

人間との関係[編集]

「ブツエビ」「タエビ」などと呼ばれ、スジエビなどと共に釣り活き餌として利用されるが[1][3]アクアリウムでの観賞用やタンクメイトとしても利用されるようになった。ミナミヌマエビではない大陸産亜種(シナヌマエビ)が繁殖しており、「ミナミヌマエビ」との混同も見られる[4][5]

飼育[編集]

水槽内の藻類や水垢などを食べて水槽の掃除役をこなす。固形飼料を与えると群がってくるしぐさも愛嬌があり、特に餌をやらなくても水槽内に十分に藻類が繁殖していればそれを食べて生き残ることができる。水温への適応も1-30℃程度と幅広い。水面が凍るほどの寒さでも生き延び、夏でも風通しの良い日陰なら大抵耐えられる。

ただし自分より大きな魚がいると物陰に隠れてしまうし、小型なので捕食されやすい。同じ水槽で飼うならメダカなどの小魚か、ドジョウ類などのおとなしい魚がよい。オヤニラミなどの肉食魚と混泳させないのはもちろんだが、ドジョウ類でもホトケドジョウはミナミヌマエビが好物なので要注意である[6]。また水温変化に強いとはいえ、大多数の生物と同じく急激な水温変化には弱い。

飼育寿命は一年ほどであるが、ヤマトヌマエビと異なり淡水で繁殖できるため、複数個体をうまく飼育すると水槽内でどんどん繁殖する[2]。場合によっては繁殖のし過ぎに注意が必要なほどである。ヒーターをつけない水槽では春から秋まで繁殖するが、ヒーターで加温した水槽は1年を通して産卵し、体長16mmくらいの抱卵個体も見られる。小魚と飼っている場合は孵化直後の稚エビが捕食され易いので、水草や石などで隠れ家を多く作るとよい。また、気付くことはなくともフィルターなどの濾過器に吸い込まれることがあるため、吸引力の強い濾過器では稚魚吸い込み防止のスポンジや、スポンジフィルターの使用が必要になる。

ヤマトヌマエビとの比較[編集]

水槽の苔掃除役としてヤマトヌマエビ同様重宝されるが、本種は小型種なので稚エビなど小型の個体はヤマトヌマエビに捕食されることもあり、繁殖を期する場合はヤマトヌマエビと混泳させない方が良い。体が小さいため苔取りの能力はヤマトヌマエビの1/3程度とされる。但し、ヤマトヌマエビは水槽内では繁殖しないのに対しミナミヌマエビは繁殖するため世代を超えて水槽内での苔取りが期待できる。

参考文献[編集]

 src= ウィキメディア・コモンズには、ミナミヌマエビに関連するカテゴリがあります。
  1. ^ a b c 三宅貞祥『原色日本大型甲殻類図鑑 I』ISBN 4586300620 1982年 保育社
  2. ^ a b c d 鹿児島の自然を記録する会編『川の生き物図鑑 鹿児島の水辺から』(解説 : 鈴木廣志)2002年 南方新社 ISBN 493137669X
  3. ^ a b 丹羽信彰『兵庫県菅生川のヒルミミズの侵入時期と侵入経路の特定』日本甲殻類学会第48回大会講演 2010年
  4. ^ a b AquaTurtlium ~琵琶湖以南の本州・九州に生息しています。京都府には生息し、福井県には生息していない~
  5. ^ a b 滋賀報知新聞
  6. ^ 『レッドビーシュリンプとその仲間』 アクアライフ編集部
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ミナミヌマエビ: Brief Summary ( Japanese )

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ミナミヌマエビ(南沼蝦、学名 Neocaridina denticulata )は、十脚目ヌマエビ科に分類されるエビの一種。産卵も淡水中で行い、一生を淡水域で過ごす陸封型のヌマエビである。Neocaridina denticulata という種レベルでは朝鮮半島台湾中国まで分布するが、狭義には日本固有亜種を指して「ミナミヌマエビ」と呼ぶ。

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