タイワンザル
タイワンザル Macaca cyclopis
保全状況評価[1][2][3] LEAST CONCERN (IUCN Red List Ver.3.1 (2001)) ワシントン条約附属書II
分類 界 :
動物界 Animalia 門 :
脊索動物門 Chordata 亜門 :
脊椎動物亜門 Vertebrata 綱 :
哺乳綱 Mammalia 目 :
霊長目 Primates 科 :
オナガザル科 Cercopithecidae 属 :
マカク属 Macaca 種 :
タイワンザル M. cyclopis 学名 Macaca cyclopis (
Swinhoe,
1863)
和名 タイワンザル
[4][5][6] 英名 Formosan macaque
[5] Formosan rock macaque[3] Taiwan macaque
[3][5][7] Taiwanese macaque
[3]
タイワンザル(Macaca cyclopis)は、霊長目オナガザル科マカク属に分類されるサル。
台湾[3][6]固有種。日本(伊豆大島など)に移入[3][4]。
体長オス40 - 55センチメートル、メス36 - 50センチメートル[4][6]。尾長26 - 45センチメートル[6][7]。体重オス6キログラム、メス4.9キログラム[4]。全身は灰褐色[4]。四肢は黒い[4][5][6]。
種小名cyclopisはギリシャ神話に登場する巨人キュクロープスに由来する[5]。
標高100 - 3,600メートルにある広葉樹林・針葉樹との混交林・竹林・草原などに生息する[7]。沿岸部で発見されることもあり以前は海岸付近にも生息していたと考えられているが、人間の活動により主な生息地は内陸の山地に限られる[7]。英名rockは記載者が洞窟や岩陰に生息すると報告したことに由来する[5]。地表でも樹上でも活動する[4]。昼行性[4][7]。0.6 - 2平方キロメートルの行動圏内で生活する[4]。1頭から複数頭のオスとその幼獣からなる、数頭から数百頭の群れを形成して生活する[4]。
果実、種子、芽、葉、昆虫などを食べる[4][7]。
繁殖様式は胎生。11月から翌1月に交尾を行う[7]。妊娠期間は約165日[7]。4 - 6月に1回に1頭の幼獣を産む[7]。
人間との関係[編集]
生息地では食用とされることもある[7]。
サツマイモ、ラッカセイなどを食害する害獣とみなされることもある[7]。移入先の伊豆大島ではツバキを食害する害獣とみなされる[4]。
以前は開発による生息地の破壊、食用や薬用・ペット用・実験動物としての狩猟や捕獲などにより生息数は減少していると考えられていた[6][7]。近年は増加傾向にあるとする報告もある[3]。IUCNでは2008年現在は低地での生息地の破壊などによる影響は懸念されているものの、大幅な減少はみられず安定傾向にあると推定している[3]。1977年に霊長目単位でワシントン条約附属書IIに掲載されている[2]。
日本では1930 - 1940年代に大島公園の動物園から脱走・遺棄された個体が伊豆大島に定着している[8]。1952年には私有地で放獣された個体が野辺地町(下北半島)に定着した[9]。1955年頃に大池遊園から放獣された個体が和歌山県北部に定着した[10]。1998年には和歌山県で、2004年には下北半島で本種とニホンザルの交雑個体が発見され、ニホンザルの遺伝子汚染が懸念されている[9][10]。下北半島の移入個体群は2003 - 2004年に全頭が除去された[4][9]。和歌山県では2002年から駆除が開始され2012年に捕獲された個体を最後に、2013年現在ではGPSや設置カメラ・未知の個体群の調査・イヌによる追跡調査・地元での聞き取り調査から本種および交雑個体は確認されていない[11]。ニホンザルへの遺伝子汚染の懸念・農作物を食害するなどの理由から、日本では2005年4月に特定外来生物に指定(同年6月施行)され、飼養・保管・運搬・放出・輸入などが規制された[12]。2015年に環境省の生態系被害防止外来種リストにおける総合対策外来種のうち、緊急対策外来種に指定されている[12]。
和歌山県などでは農作物を荒らされたり人家の瓦をはがされたりする被害が相次いでいる[13][14]。伊豆大島でも捕獲駆除が実施されている[15]。 2012年頃からは和歌山県での目撃例がなくなった[16]。
参考文献[編集]
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ヘルプ]
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^ Appendices I, II and III<https://cites.org/eng>(Accessed 26/11/2017)
- ^ a b UNEP (2017). Macaca cyclopis. The Species+ Website. Nairobi, Kenya. Compiled by UNEP-WCMC, Cambridge, UK. Available at: www.speciesplus.net. (Accessed 26/11/2017)
- ^ a b c d e f g h Hai Yin, W. & Richardson, M. 2008. Macaca cyclopis. The IUCN Red List of Threatened Species 2008: e.T12550A3355290. http://dx.doi.org/10.2305/IUCN.UK.2008.RLTS.T12550A3355290.en. Downloaded on 26 November 2017.
- ^ a b c d e f g h i j k l m 石井信夫 「タイワンザル」『日本の哺乳類【改訂2版】』阿部永監修、東海大学出版会、2008年、68頁。
- ^ a b c d e f 岩本光雄 「サルの分類名(その1:マカク)」『霊長類研究』第1巻 1号、日本霊長類学会、1985年、45-54頁。
- ^ a b c d e f 渡邊邦夫 「タイワンザル」『動物世界遺産 レッド・データ・アニマルズ4 インド、インドシナ』小原秀雄・浦本昌紀・太田英利・松井正文編著、講談社、2000年、137頁。
- ^ a b c d e f g h i j k l Crystal Chiu, 2001. "Macaca cyclopis" (On-line), Animal Diversity Web. Accessed November 26, 2017 at http://animaldiversity.org/accounts/Macaca_cyclopis/
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^ 川本芳、川本咲江、佐伯真美、乗越皓司 「伊豆大島に生息するマカク外来種に関する遺伝学的調査」『霊長類研究』第19巻 2号、日本霊長類学会、2003年、49頁。
- ^ a b c 川本芳、川本咲江、川合静「下北半島におけるタイワンザルとニホンザルの交雑」『霊長類研究』第21巻 1号、日本霊長類学会、2005年、11-18頁。
- ^ a b 川本芳、大沢秀行、和秀雄、丸橋珠樹、前川慎吾、白井啓, 荒木伸一 「和歌山県におけるニホンザルとタイワンザルの交雑に関する遺伝学的分析」『霊長類研究』第17巻 1号、日本霊長類学会、2001年、13-24頁。
-
^ 白井啓、高野彩子、鳥居春己、萩原光、清野紘典、岡野美佐夫、村瀬英博、村瀬涼子、和秀雄、川本芳、中川尚文、森光由樹、川村輝 「和歌山県北部のタイワンザル・ニホンザル交雑個体群の根絶確認モニタリングの現状」『霊長類研究 Supplement』、日本霊長類学会、2013年、頁。
- ^ a b タイワンザル・特定外来生物等一覧・ 特定外来生物等一覧(指定日別)・生態系被害防止外来種リスト(環境省 ・2017年11月26日に利用)
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^ 新聞「農民」2001年1月15日「深刻なタイワンザル被害」(2009年7月13日閲覧)
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^ タイワンザル7匹を安楽死 外来種対策で和歌山県(2009年7月13日閲覧)[リンク切れ]
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^ 多紀保彦(監修) 財団法人自然環境研究センター(編著) 『決定版 日本の外来生物』 平凡社、ISBN 978-4-582-54241-7。
-
^ “特定外来生物「タイワンザル」、和歌山で根絶宣言へ”. 朝日新聞. (http://archive.today/2018.04.20-020744/https://www.asahi.com/articles/ASKC955TJKC9PLBJ00C.html
関連項目[編集]
ウィキメディア・コモンズには、
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