ヨーロッパコウイカ(欧羅巴甲烏賊、Sepia officinalis)は、最も大きく、そして最も有名なコウイカである。外套膜の大きさは49cm程度、重さは4kgになる[1]。亜熱帯地域の海のものは比較的小さく、30cmを超えることは稀である[2]。
ヨーロッパコウイカは、少なくとも地中海、北海、バルト海に自生するが、亜種は南アフリカにも生息している。水深200m程度の砂や泥の海底に住む。他の多くのコウイカと同様に、浅い海で産卵する[3]。
ヨーロッパコウイカは、アンコウやメカジキのような[4][5]大型の魚[6]やクジラ[6]に捕食されることが知られている。
また、天然では硬骨魚綱やカイアシ類、甲殻類、イカ、腹足綱、二枚貝、ヒモムシ、貝虫亜綱等の様々な動物を捕食している[7]。
2008年の研究で[8]、ヨーロッパコウイカは胚の段階で視覚的に最初に見た獲物を、成長してからも好む傾向があることが明らかとなった。例えば一般的には、ヨーロッパコウイカはカニよりもエビを好むが、胚の段階で最初にカニと出会った個体は孵化後エビよりもカニを多く捕るようになる。
ヨーロッパコウイカのタイプ標本が獲られた場所については"Oceano"(海)と記されているだけで、具体的にどこの場所なのかは分かっていない。この標本は現在、ロンドン・リンネ学会に預けられている[9]。
Sepia officinalis jurujubai Oliveira, 1940は、当初ヨーロッパコウイカの亜種として記されたが、現在ではアメリカアオリイカの後行シノニムであるとされている[10]。