ヤチダモ(谷地梻、学名:Fraxinus mandshurica var. japonica)は、モクセイ科トネリコ属の落葉広葉樹。単にタモともいう。(「梻」は木偏に「佛」)
トネリコやアオダモの近縁種。英名のManchurian Ash(マンチュリアン・アッシュ)は「満州のトネリコ」の意味。厳密には本種のもとになったマンシュウトネリコ(F. mandshurica)を指す。ヤチダモは北海道と本州に分布するが、特に北海道に多く産し、植林も盛んに行われている。本州では山間の沢沿いで見かける。根が冠水しても生きているため、たびたび水没するような人造湖の壁面にも生育する。
家具や装飾材、日常器具の材料として利用されるほか、合板の材料にも用いられる。また硬質で弾力性に富むため、野球のバットやテニスのラケットに使用される素材でもある。成長がよく、年輪幅が広いと重厚になり、成長が悪いと軽くなる。成長のよいものは運動用具材に。成長の悪いものは家具材として重宝される。
第二次世界大戦後、野球熱とともにバットの需要が高まると北海道のヤチダモが注目され、各地の広葉樹伐採跡地や旧軍馬放牧地にまとまって成立していたヤチダモの二次林から大量供給されるようになった。バット需要が一巡するころにはヤチダモの一斉林は姿を消し[1]、既にまとまった量のヤチダモ林を求めることは難しくなっている。
葉が落ちた状態
(2009年4月、弟子屈町にて)