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マハゼ ( Japanese )

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マハゼ Mahaze0811.jpg
マハゼ A. flavimanus
分類 : 動物界 Animalia : 脊索動物門 Chordata 亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata : 条鰭綱 Actinopterygii : スズキ目 Perciformes 亜目 : ハゼ亜目 Gobioidei : ハゼ科 Gobiidae 亜科 : ゴビオネルス亜科 Gobionellinae : マハゼ属 Acanthogobius : マハゼ A. flavimanus 学名 Acanthogobius flavimanus
Temminck et Schlegel, 1845 英名 Yellowfin Goby

マハゼ(真鯊、真沙魚)、学名 Acanthogobius flavimanus は、スズキ目ハゼ科に分類されるハゼの一種。東アジアの内湾や汽水域に生息するハゼで、日本では食用や釣りの対象魚として人気がある。

日本における地方名は、ハゼ(日本各地)、カジカ(宮城)、カワギス、グズ(北陸地方)、デキハゼ(関東地方・若魚)、フユハゼ(浜名湖)、カマゴツ(鳥取)、ゴズ(島根)、クソハゼ(大村湾)など数多い。

特徴[編集]

全長は15cmほどだが、25cmほどに達するものもいる。体は細長い円筒形で、ハゼとしてはスマートな体型をしている。吻は前方に丸く突き出ていて、上顎がわずかに下顎より前に出る。背中側は灰褐色で、体側には黒い斑点が並びしま状となる。腹側は白く、鈍い光沢がある。背鰭と尾鰭には軟条に沿って黒い点が点線状に並ぶが、尾鰭の下方は斑点がなく灰色がかっている。若魚は第一背鰭の後半部に黒い斑点があるが、成長するにつれ目立たなくなる。

南日本や中国ではウロハゼ Glossogobius olivaceus と同所的に見られるが、ウロハゼはマハゼより太く短い体形をしていること、下顎が前に出ること、鱗が大きいこと、腹面が灰色を帯びることなどで区別できる。

分布[編集]

日本では北海道から種子島まで分布し、日本以外でも沿海地方朝鮮半島中国まで分布する。さらにカリフォルニア州オーストラリアにも分布するが、これは自然分布ではなく、船舶バラスト水などによって運搬され定着したものと考えられる。

波の穏やかな内湾や汽水域の砂泥底に生息するが、若魚はごく浅い海岸の純淡水域にも進入する。汚染にも強く、都市部の港湾にも多く生息して親しまれている。

砂泥底に腹をつけて生活する底生魚で、胸鰭を羽ばたかせてサッと泳ぐ。食性は肉食性が強く、多毛類甲殻類貝類・小魚などを貪欲に捕食するが、藻類を食べることもある。一方、天敵はサギマゴチなどである。

生活史[編集]

マハゼの産卵期は1月から5月にかけてで、南の地方ほど産卵期が早い。オスは砂泥底にY字型の穴を掘り、メスを呼びこんで穴の壁に産卵させる。産卵・放精が終わった後もオスは巣に残り、孵化するまで卵を守る。

孵化した稚魚は遊泳生活をし、プランクトンを捕食しながら成長するが、全長2cmほどで底生生活に移る。には全長5cm-10cmほどの若い個体が海岸のごく浅い所や淡水域にも現れる。これらの若魚は小動物を捕食しながら急速に成長し、になると次第に沿岸の深場へ移動する。になると再び浅場にやってきて産卵するが、産卵後はオスメスとも死んでしまう。寿命は1年だが、2年で成熟・産卵するものもいる。

利用[編集]

マハゼは都市部の沿岸や河川にも多く生息している身近な魚である。釣りやすい上に味もよく、食用や釣りの対象として人気が高い。鮮魚が市場に流通することは少ないが、マハゼを利用した料理は各地の食文化に組み込まれている。

ほぼ年中漁獲されるが、から冬にかけてとされる。美味な白身魚で、天ぷら唐揚げ刺身吸い物の椀種、煮付け甘露煮などいろいろな料理で食べられる。仙台など一部の地方では、ハゼの焼き干しは伝統的な雑煮の出汁として、なくてはならないものである。

同属種[編集]

マハゼ属 Acanthogobius は、東アジアから計7種が知られ、うち4種が日本に分布する。

ハゼクチ A. hasta Temminck et Schlegel,1845
全長は50cmを超え、日本に分布するハゼ類の中では最大種である。マハゼに似るが尾鰭に斑点がない。中国朝鮮半島・日本に分布するが、日本では有明海八代海だけに分布する。
アシシロハゼ A. lactipes Hilgendorf,1879
全長10cmほど。マハゼに似るが鱗が大きいこと、体側に白の横しま模様があることなどで区別できる。また、オスは第1背鰭の軟条が糸状に伸びる。分布域・生息域はマハゼと同様だが、汽水域に多い。漁獲され佃煮などに利用される。
ミナミアシシロハゼ A. insularis Shibukawa et Taki,1996
奄美大島以南の南西諸島に分布しており、アシシロハゼとは分布が重ならない。また、オスの第1背鰭軟条は糸状に伸びない。日本の環境省が作成した汽水・淡水魚類レッドリストでは、2000年版から絶滅危惧II類(VU)に指定されている。

参考文献[編集]

  • 内田亨監修『学生版 日本動物図鑑』北隆館 ISBN 4832600427
  • 檜山義夫監修 『野外観察図鑑4 魚』改訂版 旺文社 ISBN 4010724242
  • 永岡書店編集部『釣った魚が必ずわかるカラー図鑑』 ISBN 4522213727
  • 蒲原稔治著・岡村収補『魚』保育社 エコロン自然シリーズ 1966年初版・1996年改訂 ISBN 4586321091
  • 川那部浩哉・水野信彦・細谷和海編『山渓カラー名鑑 改訂版 日本の淡水魚』(解説 : 辻幸一)ISBN 4635090213
  • 瀬能宏・矢野維幾・鈴木寿之・渋川浩一『決定版 日本のハゼ』平凡社 ISBN 4582542360
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マハゼ: Brief Summary ( Japanese )

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マハゼ(真鯊、真沙魚)、学名 Acanthogobius flavimanus は、スズキ目ハゼ科に分類されるハゼの一種。東アジアの内湾や汽水域に生息するハゼで、日本では食用や釣りの対象魚として人気がある。

日本における地方名は、ハゼ(日本各地)、カジカ(宮城)、カワギス、グズ(北陸地方)、デキハゼ(関東地方・若魚)、フユハゼ(浜名湖)、カマゴツ(鳥取)、ゴズ(島根)、クソハゼ(大村湾)など数多い。

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