クロミンククジラ(くろみんく鯨・学名Balaenoptera bonaerensis)とはヒゲクジラ亜目の一種である。ナガスクジラ科ナガスクジラ属に属する。クロコイワシクジラ(黒小鰯鯨)とも呼ばれる。
この鯨種はかつてはミンククジラと単一の種 Balaenoptera acutorostrata とされたうえで、南半球の南極海-南半球水域群などに分けられていた。現在ではこれらは別種とされ、南半球の通常型には新学名B. bonaerensisが与えられた。B. bonaerensis は英名で Southern Minke Whale(ミナミミンククジラ)、和名ではクロミンククジラとも呼ばれる。
また和名ではクロコイワシクジラともされるが、イワシクジラと特に近縁という訳ではない。
日本鯨類研究所は調査捕鯨の結果から、クロミンククジラは成熟雌の90%以上が毎年妊娠し繁殖力は非常に強いとしている。おなじ調査捕鯨の結果によると、南極海のミンククジラは商業捕鯨の末期に日本とソ連が集中的に捕獲を開始した1970年頃を境に捕鯨禁止を経て現在に至るまで、生息数の増加の停止が観察されている。捕鯨禁止により殆ど総ての捕鯨対象であった鯨種が増加傾向にある中でこれは特異な現象である。これについて同研究所はザトウクジラとクロミンククジラとの間に起こった優先種の交代と見ているが、これにより総てが説明されるものではない。
ミンククジラ2種は、1960年代の日本による南極海での試験操業で確認されるまで、同一の種とされたほど[2]で、極端な違いはみられない。(ナミ)ミンククジラの手鰭には白い模様があるが、クロミンククジラの手鰭に模様はなく、それが顕著な外観の違いである。成体での体長は8.5 - 9.0mほどであり、ミンククジラよりやや大きい程度である[3]。
クロミンククジラはその餌として南極海に多く生息するオキアミやプランクトンのみに依存している[4]。ただし、ロス海では魚類の捕食が確認されており、もともとは魚なども捕食する雑食性であったものが、捕鯨によって減少した大型鯨類が捕食する筈であったオキアミ資源に余剰が生じた為[5]とする説もある。
クロミンククジラは他のヒゲ鯨同様、高緯度海域の摂食域と低緯度海域の繁殖域の間で大回遊を行う。夏場は摂食域である南極海で採餌し、秋から冬にかけた九月からの三ヶ月間は温暖な低緯度海域(南太平洋西側海域など)の繁殖域で繁殖するとされる。繁殖域ではほとんど捕食しないとされ、移動途中や繁殖域での捕食は確認されていないが、他の鯨と比較して小型であり(つまり脂肪の蓄積も少ない)、摂食域にいる期間も短い事実から、なんらかの摂食が行われているだろうという指摘[6]もある。クロミンククジラは赤道近くまでは回遊するものの、赤道を越える事はない。
クロミンククジラの生息数については諸説ある。1980年代には、ミンククジラの南極海・南半球水域群が76万頭生息していたのではないかと推計されているが[7]、近年[いつ?]出された暫定報告ではこの数字は大幅に下方修正されており[要出典]、現在[いつ?]、国際捕鯨委員会(IWC)の科学委員会で検討が行われているが、2008年の時点で生息数に関する合意は得られていない[8]。ただし、南極海だけで数十万頭規模のミンククジラが生息しているのは確実とされる[要出典]。
クロミンククジラの商業捕鯨モラトリアム以前の生息数は、クロミンククジラの商業捕鯨が1971年と比較的最近に始まったこともあって定かでないが、1970年代に初期生息数は20万頭程度と報告されたことがある[9]。
クロミンククジラ(くろみんく鯨・学名Balaenoptera bonaerensis)とはヒゲクジラ亜目の一種である。ナガスクジラ科ナガスクジラ属に属する。クロコイワシクジラ(黒小鰯鯨)とも呼ばれる。