エミュー
エミュー Dromaius novaehollandiae
保全状況評価[1] LEAST CONCERN (IUCN Red List Ver.3.1 (2001)) 分類 界 :
動物界 Animalia 門 :
脊索動物門 Chordata 亜門 :
脊椎動物亜門 Vertebrata 綱 :
鳥綱 Aves 目 :
ヒクイドリ目 Casuariiformes 科 : ヒクイドリ科
Casuariidae 属 :
エミュー属 Dromaius Vieillot, 1816
[2] 種 :
エミュー D. novaehollandiae 学名 Dromaius novaehollandiae (
Latham,
1790)
[1][2] 和名 エミュー
[3] 英名
Emu[1][2][3][4]
エミュー(鴯鶓、学名:Dromaius novaehollandiae)は、ヒクイドリ目ヒクイドリ科エミュー属に分類される鳥類。
オーストラリアの非公式な国鳥である[5]。
オーストラリア全域の草原や砂地などの拓けた土地に分布している。周辺海域の島嶼部にも同種ないし近縁種が生息していたが、現生種の1種のみを除いて絶滅したとみられている。
体高は約1.6m-2.0m程度、体重は40kg-60kg程度。鳥類の中ではダチョウに次いで高いが、体重はヒクイドリに及ばない。見た目はダチョウに似るが、ややがっしりした体躯で、頸から頭部に掛けても比較的長い羽毛が生えている。また、趾(あしゆび)は3本であり、先に丈夫な爪を備えている。幼鳥の羽毛には縞模様があるが、成長すると縞が消える。成鳥はオス、メスいずれも同様に全身の羽毛が灰褐色になるが、所々に色が剥げたり濃くなったりしている箇所があり、泥で汚れているかのように見える。エミューの羽はヒクイドリと同じく、2本が1対である特徴を持っている。
翼は体格に比してきわめて小さく、深い羽毛に埋もれているために外からはほとんど視認できない。ダチョウ、ヒクイドリ、レアなどと比べると、最も退化した形であり、長さは約20cm。先端には1本の爪が付いている。
卵はアボカドのような深緑色で、長さは10cm程度、重さは約550gから600g。
以下の分類・分布はClements Checklists ver. 2016・IOC World Bird List(v 7.2)IOC World Bird List(v 7.2)に従う[2][4]。
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Dromaius novaehollandiae novaehollandiae (Latham, 1790)
- オーストラリア大陸
- †Dromaius novaehollandiae baudinianus Parker, 1984(絶滅亜種)
- カンガルー島
- †Dromaius novaehollandiae diemenensis Le Souef, 1907(絶滅亜種)
- タスマニア島
- †Dromaius novaehollandiae minor Spencer, 1906(絶滅亜種)
- キング島
性格はヒトに対しては温厚であるが、雷・金属音・子供の甲高い声などに反応し走り回ることがある。犬などの動物に対しては警戒心が強く、場合によっては蹴りで相手を攻撃する。蹴りは、前方90度の範囲程度であれば容易に繰り出す。また、繁殖時期になると多少警戒心が強くなる。性別でみると、オスの方が比較的おとなしい。
鳴き声はオスとメスで違い、オスは「ヴゥー」と低い鳴き声を出し、メスは「ボン……ボボン」とドラムのような鳴き声を出す。メスの鳴き声は繁殖時期が近づく頃がもっとも盛んになる。
食性は雑食性で、主に昆虫、果実、種子、下草などを餌にする。
産卵期は日照時間の短くなる11月から4月の期間(南半球では、5月から10月あたり)で、3日から5日の間隔で一度に1個ずつ産卵する。産卵数は、期間中に10-30個程度であるが、稀に40個以上産卵する個体もある。抱卵は10個程度の産卵後にオスが約2ヶ月間飲まず食わずで行う。孵化後2-3ヶ月間はオスが雛を外敵などから守るが、飼育下ではメスも参加することもある。
人間との関係[編集]
丈夫で飼いやすいためか飼育している動物園は多く、人に慣れやすく危険性も低いことから、入園者が直接触れられるようにしているところもある。また、日本では1996年より、北海道下川町一の橋地区に個人により導入され、国内初の畜産を軸とした飼育が始まった。北海道下川地域には、同氏により1995年に試験的飼育が展開され、アメリカ・モンタナ州より生後6ヶ月のオス・メスのペアーが導入された。そのエミューペアーは現在13歳8ヶ月(2009年1月現在)であるが、繁殖を続けている。 日本ではひくいどり科が特定動物に指定されているが、特定動物には本種を含まないヒクイドリ科が指定されている[6]。
2016年現在は生息数は安定しているとされる[1]。亜種D. n. diemenensisは1845年の記録を最後に絶滅した[1]。砂漠化しつつあるような土地でも生息可能で、繁殖力も強く基本的には丈夫な鳥であるが、この食性により、農地を荒らす害鳥として駆除の対象となったため、ダチョウ目の他の種と同様、頭数が激減している。
- 肉は赤肉で美味とされる。皮下脂肪は動物油の中でも抜群に優れており、原産国オーストラリアの先住民アボリジニがブッシュ・タッカーとして長く愛用し続けている。
- ダチョウより攻撃性が低いことより、メガソーラーの雑草対策として飼育された事例もある[7]。
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1932年に西オーストラリア州でエミューを害鳥とし、大掛かりな殺戮作戦が行われた。
- ^ a b c d e BirdLife International. 2016. Dromaius novaehollandiae. The IUCN Red List of Threatened Species 2016: e.T22678117A92755836. http://dx.doi.org/10.2305/IUCN.UK.2016-3.RLTS.T22678117A92755836.en. Downloaded on 04 July 2017.
- ^ a b c d Ratites: Ostrich to Tinamous, Gill F & D Donsker (Eds). 2017. IOC World Bird List (v 7.2). http://dx.doi.org/10.14344/IOC.ML.7.2 (Retrieved 04 July 2017)
- ^ a b 山階芳麿 「エミュー属」『世界鳥類和名辞典』、大学書林、1986年、2頁。
- ^ a b Clements, J. F., T. S. Schulenberg, M. J. Iliff, D. Roberson, T. A. Fredericks, B. L. Sullivan, and C. L. Wood. 2016. The eBird/Clements checklist of birds of the world: v2016. Downloaded from http://www.birds.cornell.edu/clementschecklist/download/
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^ “National symbols”. オーストラリア 外務貿易省. ^ 分類学的変更に伴う特定動物の改訂について (環境省・2017年7月4日に利用)
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^ メガソーラーを救う草食動物たち 雑草モグモグ…発電量維持と経費削減に貢献 産経新聞 2013年10月20日(日)9時6分配信