タバコ属(タバコぞく、Nicotiana)は、ナス科の属の1つである。タバコといった種が属する。
ラングドック地方(現・ラングドック=ルシヨン地域圏)ニームの人で、フランスに初めてたばこを持ち込み、1561年にフランス王室に紹介したジャン・ニコ (1530 - 1600) にちなんだものである。
南北アメリカ大陸の熱帯から温帯にかけてと、オーストラリア・南太平洋諸島・アフリカ南西部などに分布し、約70種が知られている。大半は一年草または多年草であるが、低木になるものもある。
茎は直立し、角張ったものや剛毛のあるものもある。葉は互生し、単葉で、かなり大きくなるものがある。花は先端に円錐花序または総状花序を作り、萼は筒型で5裂、花冠は漏斗形で5裂する。花色には紅・紫・白・黄色と黄緑色のものもあり、芳香を持つものが多い。
たばこはコロンブスがヨーロッパに持ち帰ってから百年も経たないうちに世界の隅々まで普及し、嗜好品として愛用されているが、現在は癌・高血圧・心臓病などの重大な疾患の原因になるほか、受動喫煙の問題などマイナスのイメージが強くなっている。殺虫剤にも使われており、家庭でも吸い殻を一晩水に浸した液を噴霧器などでまくと、農薬として使える。
そのほかに欧米では、ハナタバコなど数種が園芸植物として栽培されている。日本では長い間この属の植物を一般の人が栽培することを禁止していたが、1987年の専売制廃止に際し、家庭で栽培できるようになった。しかし、夜咲きで、切り花にもならないこともあり、あまり普及していない。