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動物(どうぶつ、羅: Animalia、単数: Animal)とは、
本項では1の意味を解説する。
動物は、哺乳類、爬虫類、鳥類、両生類、魚類といった脊椎動物はもちろん、貝類、昆虫、サナダムシ、カイメンなど、幅広い種類の生物を含んだ分類群で、特徴として運動能力と感覚を持つ多細胞生物である事が挙げられる。
20世紀末の分子遺伝学の知見を踏まえると、生物は真正細菌、古細菌、真核生物の3つに分かれるが(3ドメイン説)、動物はそのうちの真核生物に属し、他に真核生物に属するものとしては植物、菌類(キノコやカビ)、原生生物が挙げられる。
すべての動物は細胞で構成されている。この細胞はコラーゲンと伸縮性のある糖タンパク質からなる特徴的な細胞外マトリックスで囲まれている[8]。細胞外マトリックスは細胞外の空間を充填する物質であると同時に、骨格的役割(石灰化による骨、貝殻、海綿骨針といった組織の形成[9] )、細胞接着における足場の役割(例:基底膜やフィブロネクチン)、細胞増殖因子などの保持・提供する役割(例:ヘパラン硫酸に結合する細胞増殖因子FGF)などを担う。また動物細胞は、密着結合、ギャップ結合、接着斑などにより細胞結合・細胞接着している[10]。
海綿動物や平板動物のような少数の例外を除き、動物の体は組織に分化しており[11]、組織としては例えば筋肉や神経がある。
動物の起源については、単細胞生物の襟鞭毛虫が集まって多細胞化する事で海綿動物のような動物になっていったと考えられる[12]。
なお従来は、上述した襟鞭毛虫類から進化したとするヘッケルの説と繊毛虫類から進化したとするハッジの説が対立していたが、分子遺伝学の成果によれば、18S rDNAに基づいた解析等により、動物は襟鞭毛虫類を姉妹群に持つ単系統な群であることが示されており、ヘッケルの説が有力とされている[12]。
下表は動物界を生物の分類の分類階級である「門」に分類したものであり[13]、各動物門に属する生物はそれぞれの「門」独自の基本設計(ボディプラン)を共有している。
ただし、2018年現在、分子系統解析が進展中ということもあり、下表は今後も若干の修正が加えられていくものと思われる。
動物分類表[13][14] 上位分類 門 動物の例 後生動物 (前左右相称動物) 海綿動物門 カイメン、 カイロウドウケツ 平板動物門 センモウヒラムシ 刺胞動物門 クラゲ、 サンゴ 有櫛動物門 クシクラゲ 左右相称動物 冠輪動物 ? 直泳動物門 キリオキンクタ ? 二胚動物門 ニハイチュウ 扁平動物 扁形動物門 プラナリア、 吸虫、 サナダムシ 顎口動物門 輪形動物門 ワムシ 鉤頭動物 微顎動物門 リムノグナシア 腹毛動物門 イタチムシ、オビムシ ? 外肛動物門 コケムシ 触手冠動物 箒虫動物門 ホウキムシ 腕足動物門 シャミセンガイ、ホオズキガイ 担輪動物 紐形動物門 ヒモムシ 軟体動物門 貝類、 イカ、 タコ 星口動物門 ホシムシ 環形動物門 ミミズ、 ゴカイ、 ユムシ 内肛動物門 スズコケムシ 有輪動物門 シンビオン 脱皮動物 線形動物 線形動物門 回虫 類線形動物門 ハリガネムシ 有棘動物 動吻動物門 トゲカワ 胴甲動物門 コウラムシ 鰓曳動物門 エラヒキムシ 汎節足動物 緩歩動物門 クマムシ 有爪動物門 カギムシ 節足動物門 昆虫類、 甲殻類 ? 毛顎動物門 ヤムシ 新口動物 珍無腸動物門 無腸動物、珍渦虫 棘皮動物門 ヒトデ、 ナマコ、 ウニ 半索動物門 ギボシムシ、フサカツギ 脊索動物門 ナメクジウオ、 ホヤ、 脊椎動物なお、上述の分類において
化石動物について、上記の分類される現存動物門のいずれにも属さないとして、新たな動物門が提唱されることがある。これらについては、うたかたのごとく提唱されては消えていくものも少なくないが、主なもののみ挙げる。
動物(どうぶつ、羅: Animalia、単数: Animal)とは、
生物学において、動物とは生物の分類群の一つで、一般に運動能力と感覚を持つ多細胞生物である。「動物」という言葉がつく分類群名としては後生動物や原生動物がある。後者は進化的に異なる雑多な生物をまとめたグループ(多系統群)とされているが、いずれも後生動物とは別系統である。本稿でいう「動物」は後生動物の方を指す。 日常語において、動物とは1.の意味の動物のうち、ヒト以外のもの。特に哺乳類に属する生物を指す事が多い。本項では1の意味を解説する。
後生動物 (こうせいどうぶつ、Metazoa)は、生物の分類群の1つで、真核生物のオピストコンタに属する。海綿動物、中生動物、節足動物、脊索動物などを含む。二界説での動物界から原生動物を除いたもの、五界説で動物界とされたものにほぼ等しい。
Adl et al. (2005) などによれば、後生動物は、4つのグループに分類される。
真正後生動物には、節足動物、脊索動物を始め、主要な動物門のほとんどが属する。
「動物」というタクサ名称をこの位置においたのはAdl et al. (2005) だが、必ずしも広く認められたものではない。後生動物のシノニムとする、あるいは、オピストコンタと後生動物の間に置くこともある。
後生動物全体の単系統性はある程度信じられている。以前は海綿動物の1つないしいくつかの系統は別系統だとする説もあったが、否定されつつある。
後生動物という分類は、1874年、エルンスト・ヘッケルが定めた。ヘッケルの定義は系統的なものではなかったが、範囲は現在のものとほぼ同じである。
二界説が中心であった時代に、動物界には多細胞動物と、単細胞で運動性がある原生生物が含まれていた。この、動物扱いされていた単細胞生物を原生動物というのに対して、多細胞の動物をまとめた呼び名として後生動物が使用された。
単細胞の動物から、多細胞動物への進化を考える場合や、動物の系統を論じるときなどに使われることが多かった。現在では、原生動物門は認められず、その意味では後生動物という言葉を使う価値はほとんどない。動物界を構成しているのは多細胞動物だけである。ただし、海綿動物は動物の系統関係から見て、進化の脇道に入ったものであって、真の多細胞動物ではないとの見方がある。その意味から、海綿動物を側生動物 (Parazoa) と呼ぶ場合がある。また、中生動物 (Mesozoa) というのもあるので、それらを取りのけた多細胞動物が真の後生動物だという言いかたもある。この場合、多細胞動物の主系列をまとめた、とでも言った意味合いになるものと思われるが、それが真のまとまりとして認められるものかどうかは別の問題である。
後生動物 (こうせいどうぶつ、Metazoa)は、生物の分類群の1つで、真核生物のオピストコンタに属する。海綿動物、中生動物、節足動物、脊索動物などを含む。二界説での動物界から原生動物を除いたもの、五界説で動物界とされたものにほぼ等しい。